交通事故(3)-3-2 〜後遺症慰謝料〜

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    後遺症が残った場合には,傷害慰謝料とは別に,
    後遺症が残ったことによる精神的損害について
    後遺症慰謝料を請求することができます。

    傷害慰謝料が症状固定までの慰謝料であるのに対し,
    後遺症慰謝料は症状固定後の慰謝料であるといえます。

    後遺症慰謝料額は,以下のとおり,原則として後遺障害等級によって定められています。


       第1級  2800万円
       第2級  2370万円
       第3級  1990万円
       第4級  1670万円
       第5級  1400万円
       第6級  1180万円
       第7級  1000万円
       第8級   830万円
       第9級   690万円
       第10級  550万円
       第11級  420万円
       第12級  290万円
       第13級  180万円
       第14級  110万円


    被害者の後遺障害等級が第1級や第2級のように重度後遺障害の場合は,
    被害者本人の後遺症慰謝料のほかに,
    別途近親者の慰謝料請求も認められる場合があります。

    ところが,裁判手続による判決では上記の慰謝料額が認められますが,
    任意交渉段階で損害保険会社から上記金額を提示されることはまずありません。

    慰謝料額は,損害保険会社との間で最も金額に差が生じやすい費目ですので,
    上記基準をふまえた交渉を行うことが重要となります。


    交通事故(3)-3-1 〜傷害慰謝料〜

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      慰謝料−傷害慰謝料

       

       慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償金です。そして、交通事故によって怪我をした場合、被害者が怪我をして苦痛を被ったこと(=精神的損害)を賠償するのが傷害慰謝料で、これは治療費や休業損害等とは別に請求できます。

       もっとも、交通事故の被害者が、どの程度の苦痛を被ったのか、という精神的損害の程度は、客観的には分かりにくいものです。そこで、これを客観的に判断するために、入院期間や通院期間が長ければ長いほど精神的損害の程度が大きくなると考えて、傷害慰謝料は入院期間、通院期間を重視して判断します。(そのため、入通院慰謝料と呼ばれることもあります。)

       被害者の方が保険会社と交渉する場合、保険会社側は、「任意基準」や「当社基準」等という独自の基準を持ち出して、かなり低い金額で和解金額の定時をすることがあります。

       しかし、弁護士実務では、「損害賠償額算定基準」(「赤い本」と呼ばれています)に掲載されている、次の様な基準によって計算しています。

       

      1.傷害慰謝料については、原則として入通院期間を基礎として算定表1(通常)を使用します。

      通院が長期にわたり、かつ不規則である場合は実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための入通院期間の目安とすることがあります。

      被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事等の都合など被害者側の事情により特に入院期間を短縮したと認められる場合には、上記金額を増額することがあります。

      なお、入院待機中の期間及びギプス固定中等安静を要する自宅療養期間は、入院期間とみることがあります。

       

      2.傷害の部位、程度によっては、算定表1の金額を20%〜30%程度増額することがあります。

       

      3.生死が危ぶまれる状態が継続したとき、麻酔なしでの手術等極度の苦痛を被ったとき、手術を繰り返したときなどは、入通院期間の長短にかかわらず別途増額を考慮します。

       

      4.むちうち症で他覚症状がない場合は算定表2を使用します。

      この場合、慰謝料算定のための通院期間は、その期間を限度として、実治療日数の3倍程度を目安とします。

       

       

       

      表の見方

      1.入院のみの場合は、入院期間に該当する額(例えば入院3ヶ月で完治した場合は145万円となります。)

      2.通院のみの場合は、通院期間に該当する額(例えば通院3ヶ月で完治した場合は73万円となります。)

      3.入院後に通院があった場合は、該当する月数が交差するところの額(例えば入院3ヶ月、通院3ヶ月の場合は188万円となります。)

      4.この表に記載された範囲を超えて治療が必要であった場合は、入・通院期間1月につき、それぞれ15月の基準額から14月の基準を引いた金額を加算した金額を基準額とします。(例えば算定表1の16月の入院慰謝料は340万円+(340万円ー334万円)=346万円となります。)

       


      交通事故(3)-2-3 〜逸失利益(死亡)◆

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        今日は,逸失利益(死亡)の2回目,後半部分となります。
        生活費控除率,税金の控除,就労可能年数に対応する中間利息控除係数,幼児の養育費,についてご説明します。

        生活費控除率

        死亡による逸失利益を算定する際,逸失利益から生活費相当額が控除されます。


        これはどういうことかというと,被害者の方が亡くなった場合,
        その方が将来負担すべき生活費についてもかからないのだから,
        その生活費については,損害とは認めない,逸失利益から控除するということなのです。


        そして,生活費控除率は,弁護士実務では,被害者の立場によって,次のように,
        ある程度一定の基準によって算定されています。



        (1)一家の主柱
           “鑄淪楴圍運佑両豺隋。苅亜
          ◆“鑄淪楴圍何涌幣紊両豺隋。械亜
        (2)女性(主婦,独身,幼児等を含む) 30%
        (3)男性(独身,幼児等を含む) 50%



        この他,兄弟姉妹のみが相続人のときは,被害者が兄弟姉妹を扶養しておらず,
        兄弟姉妹の生活保障に配慮する必要がないため,兄弟姉妹のみが相続人のときの
        生活費控除率は,別途考慮して,基準より高くされることもあります。




        また,年金は,生活保障を目的としており,生活費のために費やされるべきものとの考えから,
        年金部分についての生活費控除率は,基準より高くされる例が多いです。



        税金の控除



        死亡による逸失利益を算定する際,税金は原則として控除しない,というのが判例の立場です。



        高額所得者の場合,税金は多額になってきますし,控除の有無は,損害額に大きく影響しますね。
        ただ,高額所得者の場合には,生活費控除の割合を高くする等する判例もあるようです。



        就労可能年数に対応する中間利息控除係数

        (1)就労可能年数

        逸失利益は,被害者が亡くなり労働できなくなったために,本来得られるべきであったのに
        得られなかった利益をいいますので,その算定にあたっては,労働できなくなった期間,
        すなわち就労可能年数が問題となります。


        この点については,以前,後遺症による逸失利益の際にご説明した「労働能力喪失期間」と
        基本的に同じです。
        すなわち,後遺症により労働できなくなった期間を「労働能力喪失期間」と呼んでいるのに対し,
        死亡により労働できなくなった期間を「就労可能年数」と呼んでいるのです。



        従って,原則として67歳までと考え,例外として,被害者が高齢のために,
        亡くなった年齢から67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1より短くなる場合は,
        平均余命の2分の1が就労可能年数となります。



        例えば,男性が50歳で亡くなった場合は,就労可能年数17年(67歳−50歳),
        65歳で亡くなった場合は,就労可能年数9年(男性平均余命18.86年の2分の1=9年>2年)
        となります。



        以上は,以前,後遺症による逸失利益の際にご説明した「労働能力喪失期間」と同じ点です。



        ところで,死亡による逸失利益においては,後遺症による逸失利益では考える必要のない,
        年金の逸失利益について考える必要があります(後遺症による逸失利益の場合には,後遺症があっ
        ても年金はもらえるので,考える必要がありませんね。)。



        すなわち,被害者が仮に生きていたら得られたであろう利益には,
        所得収入のほか年金収入が考えられます。



        そして年金収入については,平均余命が就労可能年数となります。
        つまり,上述したように,高齢で亡くなった場合に,その年齢から67歳までの年数が
        簡易生命表の平均余命の2分の1より短くなったとしても,
        平均余命の2分の1とする必要がありません。



        これは,考えてみると,当たり前ですが,年金は,亡くなるまで受給できるのですから,
        その平均余命まで受領し続けると考えることが合理的だからです。



        従って,例えば,男性が65歳で亡くなった場合で,年金の逸失利益を算定する際,
        就労可能年数は18年(男性平均余命18.86年)となるのです。



        (2)中間利息控除
        以前,後遺症による逸失利益の際にご説明した「中間利息控除」と同じように考え,
        就労可能年数に対応した係数を用いて計算することになります。
        ここでは説明を省略します。



        幼児の養育費



        幼児が亡くなり死亡した逸失利益を算定する際,子どもが生きていたらかかっていたはずの養育費は控除しない,というのが判例の立場です。

         


        交通事故(3)-2-3 〜逸失利益(死亡) 

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          算定方法
          死亡による逸失利益の算定方法は,

          基礎収入額×(1−生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

          という計算式になります。

           

          生活費控除とは,事故により死亡した場合,その後必要となるはずだった生活費の支出がなくなるので,これを控除するというものです。死亡した場合にのみ問題になります。

           

          例えば,

          ’齢30歳の主婦が死亡した場合,

          平成20年女性学歴計全年齢平均賃金:349万9900円

          女性生活費控除率:30%

          67歳までのライプニッツ係数:16.7113

           

          であることから,逸失利益は,

          349万9900円×(1−0.3)×16.7113

          =4094万1515円

           

          ■該个涼忙劼両豺

          平成20年男子学歴計全年齢平均賃金:550万3900円

          男性生活費控除率:50%

          3歳に適用するライプニッツ係数:8.7394

           

          であることから,逸失利益は,

          550万3900円×(1−0.5)×8.7394

          =2405万0391円

           

          となります。

           
          基礎収入

          傷害による逸失利益と同様です。

          有職者や家事従事者,無職者等について,それぞれ考え方があります。

          詳細は,交通事故(3)-2-2 〜逸失利益(後遺症)◆をご参照下さい。


          交通事故(3)-2-2 〜逸失利益(後遺症)ぁ

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            具体的計算方法

             

            では,以上を前提として,もう一度,
            総論で記載した「年収500万円だった男性サラリーマンが,
            49歳で交通事故に遭い,50歳で症状固定となって
            後遺症9級の認定を受けた場合」という事例を考えてみましょう。

             

            まず,被害者は年収500万円とのことですので,
            基礎収入は「500万円」となります。

            次に,労働能力喪失率表によれば,
            後遺症9級の場合は35%の労働能力を喪失しているものとされていますので,
            労働能力喪失率は「0.35」となります。

            最後に,50歳で症状固定となっていますので,
            67歳までの17年間が労働能力喪失期間となります。
            労働能力喪失期間17年間に対応する中間利息控除係数は,
            「11.2741」とされています。


             

            以上を前提とすると,


            逸失利益
              =基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数
              
            =500万円×0.35×11.2741
              
            =1972万9675円


            となります。

             

            逸失利益の原則的な算定方法は以上のとおりですが,
            個別具体的な事実関係に応じて修正されることもありますので,
            詳しくは当事務所までご相談下さい。


            交通事故(3)-2-2 〜逸失利益(後遺症)〜

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              労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数

               

              逸失利益は,後遺症により労働できなくなったために,
              本来得られるべきであったのに得られなくなった利益をいいますので,
              その算定にあたっては労働できなくなった期間,
              すなわち労働能力喪失期間が問題となります。


               

              (1)  労働能力喪失期間の始期


              労働能力喪失期間の始期は,原則として症状固定日です。

              すなわち,症状固定日前は休業損害として,
              症状固定日後は逸失利益として算定することになります。

              例外として,被害者が未就労者である場合は,
              就労可能となる時期が労働能力喪失期間の始期となります。
              具体的には,原告18歳から就労可能と判断されますが,
              大学卒業を前提としていたような場合は
              大学卒業時から就労可能と判断されることもあります。


               

              (2)  労働能力喪失期間の終期


              労働能力喪失期間の終期は,原則として67歳です。

              例えば,50歳で症状固定となった場合は,
              労働能力喪失期間は17年間となります。

              例外として,被害者が高齢のため,
              症状固定日から67歳までの年数が
              簡易生命表の平均余命の2分の1より短くなる場合は,
              平均余命の2分の1が労働能力喪失期間となります。

              例えば,65歳(男性平均余命18.86年)で症状固定となった場合は,
              67歳までの年数が2年であるのに対し,
              平均余命の2分の1が9年ですので,
              労働能力喪失期間は9年となります。

               

              また,労働能力喪失期間の終期の原則的な考え方は上記のとおりですが,
              職種,地位,健康状態,能力等により,
              上記原則とは異なる判断がなされることがあります。

              特に,むち打ち症の場合は,上記原則にもかかわらず,
              12級の場合には10年程度,
              14級の場合には5年程度に制限されることも多くあります。


               

              (3)  中間利息控除


              労働能力喪失期間が上記のとおりであるとすると,
              例えば,労働能力喪失期間が5年間だとすると,
              5年分の利益全額がもらえるようにも思えます。

              しかし,本来労働により得られるべき利益は労働の都度受領するのに対し,
              交通事故の逸失利益は事故時点で全期間分の賠償金を受領することになります。

              そうすると受領した逸失利益は運用可能となることから,
              実際には将来の利息分を多く受領していることになりますので,
              これを控除する必要があります。

              この将来の利息分を控除することを中間利息控除といいます。

              中間利息控除の計算は複雑ですので,
              労働能力喪失期間に対応した係数を用いて計算することになります。 


                  例: 3年=2.7232   5年=4.3295

                10年=7.7217  17年11.2741 etc.


              交通事故(3)-2-2 〜逸失利益(後遺症)◆

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                後遺症による逸失利益◆峇霑端入」,「労働能力喪失率」

                 

                基礎収入

                (1) 有職者

                 ゝ詬申蠧声

                  給与所得者の基礎収入は,原則として事故前の現実の収入額を基礎に計算します。
                 しかし,この原則を貫いた場合,仕事を始めたばかりの新社会人では,まだ給料が低いので,年収の低い若年労働者の逸失利益が不当に低く計算されるおそれがあります。

                 そこで,事故前の実収入額が全年齢平均賃金よりも低額で,事故時概ね30歳未満の若年労働者については,生涯を通じて全年齢平均賃金程度の収入を得られる可能性があれば,全年齢平均賃金を基礎収入として計算するというのが裁判実務で有力な考え方となっています。

                ◆〇業所得者

                 自営業者,自由業者,農林水産業などの事業所得者は,申告所得額を現実の収入額とみて基礎収入が算出されますが,現実の収入額が申告所得額よりも高いことを証明すれば,現実の収入額が基礎収入として認められることがあります。

                 会社役員

                 会社役員の場合は,会社から受け取っていた報酬のうち,利益配当の実質をもつ部分を除いた,労務提供の対価部分のみを基礎に基礎収入が算出される例が多数です。

                (2) 家事従事者

                 原則として全年齢平均賃金を基礎収入とします。パート収入がある兼業主婦であれば,実際の収入額と全年齢平均賃金のいずれか高いほうを基礎収入として休業損害を計算するのが一般的です。

                (3) 無職者

                 ヽ慇

                 原則として全年齢平均賃金を基礎収入とします。被害者が大学進学前であっても,諸般の事情から大学進学が見込まれる場合には,大卒の賃金センサス(注1)による基礎収入の算定が認められる場合があります(ただし,大卒の賃金センサスによる場合,働き始めの時期が遅れるため,全体としての損害額が減ることがあります)。

                ◆々睥霄

                 就労の蓋然性が認められる場合には,賃金センサス年齢別平均の賃金額により基礎収入を算定します。

                (4) 失業者

                 働く能力と意欲があり,就労の可能性がある場合には,原則として失業前の収入を参考に基礎収入を計算します。失業前の収入額が賃金センサスの平均賃金額を下回っている場合には,将来平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば平均賃金額が基礎収入となります。

                 

                賃金センサスとは主要産業に雇用される常用労働者について,その賃金の実態を労働者の種類,職種,性別,年齢,学歴,勤続年数,経験年数別等に明らかにし,わが国の賃金構造の実態を詳細に把握することを目的として,昭和23年から毎年実施されている賃金構造基本統計調査の結果をとりまとめたものです。

                 

                労働能力喪失率

                 

                 労働能力喪失率とは,後遺症によって失われる労働能力を数値化したものです。実務では,労働能力喪失率表という,後遺障害の等級に応じた労働能力の喪失率を定めた表を参考に,被害者の方の後遺症の程度,性別,年齢,職業その他諸般の事情を考慮して,労働能力喪失率を算定しています。

                 したがって,考慮される事情いかんによっては,労働能力喪失表に定められた喪失率を下回る労働能力喪失率が認定されることもありますが,比較的軽微な後遺症以外では,労働能力喪失率表の喪失率に従って労働能力喪失率を認定する例が一般的です。

                 

                後遺障害別等級表気両豺

                 

                障害等級         労働能力喪失率

                第1級                             100/100

                第2級                               100/100

                 

                 

                後遺障害別等級表兇両豺

                 

                障害等級        労働能力喪失率

                第1級〜第3級   100/100

                第4級                        92/100

                第5級                       79/100

                第6級                       67/100

                第7級                       56/100

                第8級                       45/100

                第9級                       35/100

                第10級                    27/100

                第11級                    20/100

                第12級                    14/100

                第13級                       /100

                第14級                       /100

                 


                交通事故(3)-2-2 〜逸失利益(後遺症) 

                0
                   

                  交通事故に遭って後遺症が残ってしまった場合,どんな損害賠償を請求できるでしょうか?

                   

                  後遺症の損害賠償には,「後遺症による逸失利益」と,「後遺症に対する慰謝料」が考えられます。

                  このうち,今回は,「後遺症による逸失利益」についてお話します。

                   

                  「後遺症による逸失利益」とは,交通事故で後遺症が残ってしまったために,本来得られるべきであったのに得られなくなった利益を言います。

                  例えば,交通事故に遭って,足が痛くて仕事ができなくなり,その分以前に比べて収入が下がった場合,その下がった分が逸失利益となります。

                   

                  では,この逸失利益は,どのように算定されるのでしょうか?

                   

                  実務上は,次の式で計算されています。

                   

                  後遺症による逸失利益=【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数】

                   

                  この計算式を見ても,なかなかぴんとこないと思います。

                   

                  おおざっぱにいうと,事故前の収入に,後遺症により失われた労働能力の割合をかけて,事故後の労働能力を喪失する期間をかけています。

                   

                  例えば,年収500万円だった男性サラリーマンが,49歳で交通事故に遭い,50歳で症状固定となって後遺症9級の認定を受けた場合,逸失利益は次のように算定されます。

                   

                  5,000,000円×0.35×11.2741=19,729,675円

                   

                  これでも,まだよくわからないかもしれませんね。

                  次回以降,基礎収入,労働能力喪失率,労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数をどうやって決めるのか,説明していきます。


                  交通事故(3)-2-1 〜休業損害〜

                  0

                    休業補償とは,受傷によって休業し事故前の収入と比較して収入が減った場合,その減収分を損害とするものです。

                    つまり,本来であれば受け取ることができたのに,交通事故により受傷し受け取ることのできなかった金銭も,損害として賠償の対象になるのです。

                      

                    (1)有職者

                    給与所得者であれば,現実の減収分が休業損害となります。有休を使っても休業損害と認められます。

                    事業所得者(自営業者の方など)は,現実の収入源があった場合にその減収分が休業損害となります。

                     

                    (2)家事従事者

                    家事従事者の方も,受傷により家事に支障が出ているのであれば,女性労働者の全年齢平均賃金額を基礎として,受傷により家事に従事できなかった期間について休業損害が認められます。

                    パートや内職をしていた兼業主婦の方については,現実の収入額と女性労働者平均賃金のいずれか高い方を基礎とします。

                     

                    (3)無職者

                    失業中の方も,労働する意思と能力があり,就労する可能性が高い人については,休業損害が認められます。もっとも,現実には就労していないため,平均賃金よりも低額になることが多いです。

                     

                    学生については,原則として休業損害は認められませんが,収入があれば認められます。また,就職が遅れたことによる損害も休業損害として認められます。

                     


                    交通事故(3)-1-7 〜遅延損害金〜

                    0
                      遅延損害金とは,加害者が被害者に支払うべき損害賠償金について,
                      支払が遅れた日数に応じて発生する損害金です。


                      遅延損害金は,事故日を起算点として,
                      年5%の割合で発生します。


                      例えば,治療費,休業損害,慰謝料等の損害の合計が金200万円だとした場合,

                        100日後の遅延損害金は,
                           金200万円 × 5% × 100/365 = 2万7397円

                        1年後の遅延損害金は,
                           金200万円 × 5% × 365/365 = 10万円

                        2年後の遅延損害金は,
                           金200万円 × 5% × 730/365 = 20万円

                      となります。


                      後遺障害に対する損害賠償金の遅延損害金についても,
                      起算点は,症状固定日ではなく,事故日となります。


                      もっとも,この遅延損害金については,
                      裁判における判決となれば,上記のような基準が適用されますが,
                      任意交渉の段階や,裁判手続においても調停や和解の場合には,
                      損害から除外される場合が多くあります。


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