交通事故の被害者になったら〜自賠責保険〜

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    弁護士 西川です。

    今回からは交通事故について執筆します。

     

    交通事故に遭わないに越したことはないですが,万が一遭った場合,法的にどういった対策が考えられるのかについて解説します。交通事故を取り巻く制度には,様々なものがあり,それぞれ特徴があります。

     

    まず,今回は,自動車損害賠償責任について触れます。

     

    自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済という保険制度があります。すべての自動車について,自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済という保険制度のいずれかの契約の締結が義務づけられているため,自動車をお持ちの方は聞いたことがあるかと思います。

     

    自賠責保険は,

    被保険者である自動車の運行共用者に,自動車損害賠償責任が発生した場合に,

     

    ア 被害者に支払われた損害賠償額につき自賠責保険会社が被保険者に対して保険金を支払う場合と,

     

    イ 被害者から自賠責保険会社に対して請求があれば自賠責保険会社は一定の保険金額の限度で損害賠償額の支払に応ずる場合

     

    が想定された制度です。イについては,「被害者請求」と呼ばれることが多いです。

     

    特徴としては,大きく分けて以下,らの3つがあります。

     

     “鏗下埓禅瓩砲茲襪帆幣戮茲衢利な場面がある

     

    具体的には,被害者にも落ち度があった場合,訴訟上被害者の過失の割合に応じて請求額が減額されます。被害者請求においては,過失相殺はされるものの,被害者に重大な過失がある場合(7割以上)に限り減額されるという扱いになっています。また,その減額割合も被害者に有利な減額割合(最大で5割)となっています。

     

    また,訴訟上,事故による受傷と死亡や後遺症との間の因果関係がなければ請求が認められませんが,被害者請求においては,積算された損害額又は保険金額のいずれか小さい方から5割の限度で支払がされます。

     

    仮渡金制度

     

    治療費等が今すぐほしいという場合などに,仮渡金というものを自賠責保険会社に請求できるという制度です。仮渡金の額は政令で決まっており,死亡の場合は290万円,傷害の場合には最高40万円です。

     

    8絨箴祿嘉級認定手続の整備

     

    自賠責保険においては,損害保険料率算出機構及びその下部機構である自賠責損害調査事務所による等級認定手続が整備されており,これによると,被害者は,医学上の専門的事項について明らかにする負担が軽減されます。

     

     

    以上のように,自賠責保険制度においては,被害者にとって有利な扱いとなっているため,被害者の代理人となった場合には,上記制度を利用する場合が多いです。

     

    次回は,任意保険について触れます。

     

     

     


    個人再生でマイホームを死守する方法?

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      こんばんは。
      弁護士 西川です。
       
      早速余談ですが,前回の記事,どこかの弁護士記事ランキングでなんと一時期27位まで上昇していました。
      執筆者としては,結構嬉しいものです。

      さて,前回に引き続き,民事再生手続きにおける,「住宅資金貸付債権」について執筆します。

       
      おさらいすると,前回執筆した要件を充たした場合には,原則として,再生計画内に「住宅資金貸付債権」の全部又は一部を変更する条項(住宅資金特別条項と呼ばれる)を定めることができ,これによって,住宅ローンの債権者による抵当権の実行を回避できる,というメリットがあるということです。結果として,再生債務者は,マイホームを残しながら再生手続きを進められるようになります。
       
      今回は,前回執筆した要件を充たしたとしても,以上のようなメリットを享受できない場合があるという点について触れます。具体的には,以下の事情に注意する必要があります。
       
        崕斬雹餠眤濾婪銚◆廚鰺する再生債権者が,「住宅資金貸付債権」を代位弁済によって取得した場合(民法500条,民事再生法198条1項本文括弧書)
       
       民法上,住宅ローンの個人保証をしている人が,住宅ローンの債務者に代わって住宅ローンを支払った場合(代位弁済),その限度で住宅ローン債権者が債務者に有していた抵当権を取得し,実行できるようになります。
       
      このような場合に,住宅資金特別条項を定めると,個人で保証した者が弁済してせっかく抵当権を実行できるということになっていたのに,それを認めないことになってしまいます。
       
      このようなことは,保証した人にとってはかなり経済的負担が大きいので,この場合は,住宅資金特別条項を設けることはできないことになっています。
       
       
      ◆ 崕斬陝廚法ぁ崕斬雹餠眤濾婪銚◆廚鮹簡櫃垢訥馘権以外に,一般債権を担保する別除権が設定されている場合(198条1項但書1文)
       
       別除権とは担保権のことをいいます。ここでは,住宅資金貸付債権以外についての債権に設定されている抵当権などを念頭に置いていただくと良いと思います。
       
       この場合,住宅資金特別条項は,別除権を拘束しませんので,別除権が実行されてしまうと,再生債務者は「住宅」を確保できなくなって,住宅資金特別条項を定めても無意味になってしまいます。したがって,この場合は住宅資金特別条項を設けられません。
       
      「住宅」とそれ以外の不動産が「住宅資金貸付債権」を担保する抵当権の共同担保になっている場合で,その不動産に「住宅資金貸付債権」を担保する抵当権の後順位抵当権が設定されている場合(198条1項但書2文)
       
       これはどういうことかというと,住宅ローンに際して,マイホームだけでは担保として足りず,他に所有していたAという物件にも担保を設定した場合を例として考えてみるといいと思います。
       
       
       この場合に,A物件に第2抵当権などが付いていた場合,民法上,実質的には,第2抵当権者が,自由に「住宅」に設定された抵当権を実行できる事態になりうるため,住宅資金特別条項を設けられないこととされています。
       
       
      な歉擴饉劼,「住宅資金貸付債権」の保証債務を履行した場合で,その履行がなされた日から6ヶ月間が経過した後に再生手続の開始が申し立てられた場合(198条2項本文反対解釈)
       
       これは,金融機関の利益に配慮したものです。基本的に,住宅ローンは,金融機関が住宅購入者に資金を貸し付け,それを保証会社が保証するという形をとっています。
       そして,保証会社が保証債務を履行して金融機関に,債務者の代わりに支払いを済ませた場合,金融機関としては,住宅資金貸付債権を償却した扱いにします。
       
      ところが,この場合に,債務者が再生手続きの中で住宅資金特別条項を設けると,金融機関としては,保証会社に支払ってもらった金額を返還し,「住宅資金貸付債権」はもとの金融機関に復帰することになります。
       
      このような事態がいつまでも続くことは,金融機関などの債権者にとって過剰な負担となるため,その期間を制限したというのがこの場合です。
       
      以上の四つの場合が,住宅資金特別条項を設けられない場合です。少し難しいですね。次回からは,交通事故関連の記事を執筆したいと思います。
       

      個人再生でマイホームを死守する方法

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        弁護士 西川です。
         
        今回からは民事再生について執筆しようと思います。
         
         
        つい先日,航空会社のスカイマークが民事再生手続きの開始決定をうけましたね。私の知人は,予約していたスカイマークの便が取りやめになったそうです。ついてないですね。
         
         
        民事再生とは,簡単に言うと,借りたお金を約束通り払えなくなったので,将来の継続的な収入を見込んで借金を減額してくださいと申し立てる手続きです。イメージとしては,任意整理と破産の中間の手続きみたいなものです。
         
        民事再生法は,スカイマークのような会社だけでなく,一般消費者にも適用されます。よく耳にするのが個人再生ですね。個人再生を申し立てると,昔は,住宅を手放すことを覚悟する必要がありました。
         
        しかし,平成12年に改正された民事再生法により,一定の要件を充たす場合,住宅ローン返済中であっても,マイホームを手放さずに再生手続きを進めることができるようになったのです。それを定めたのが,「住宅資金貸付債権に関する特則」です。
         
        この特則の適用を受けるためには,次の要件を充たす必要があります。
         
        まず,
        (1)「住宅」(民事再生法196条1号)に該当すること
        です。
         
        ア 「住宅」とは,まず,債務者が,「所有」する建物であることをいいます。これは,共有でもいいです。
        イ 次に,債務者自身が住居として使用する建物であって,専ら自己の居住の用に供される部分が総床面積の2分の1以上に相当することが必要です。
          要は,マイホームの半分以上の面積を住居として使用していればよいということです。この点は,個人事業者で,住居と事務所を併用している方は要確認事項です。
          なお,アとイの要件を充足する建物が複数ある場合は,債務者が主に住居として使用している建物についてのみ認められると定められています。
         
         
          もう一つの要件が,
        (2)「住宅資金貸付債権」(民事再生法196条3号)に該当すること
          です。
         
         ア 「住宅資金貸付債権」に該当するには,「住宅」の建設若しくは購入に必要な資金,又は,「住宅」の改良に必要な資金の貸付によって生じた再生債権であることを要します。
         
         イ また,分割払いの定めがある再生債権であることが必要です。一般的な住宅ローンは大体この要件は充たしていますね。
         
         ウ 「住宅」につき抵当権が設定されている債権であること,も必要です。これも一般的な住宅ローンであれば,普通,無担保ではないので充足していると思います。
         なお,住宅の敷地のみに抵当権が設定され,「住宅」に抵当権が設定されていない場合には,特則の適用はないので,注意が必要です。
         
        以上の事情は,住宅ローンに関する契約書や登記簿謄本の取寄せ等で把握できます。
         
        ですので,もし,個人再生をお考えの方で,マイホームだけは残したい,という方は,事前に以上の要件を確認してみてもいいと思います。
         
        以上がマイホームを残すための一応の要件です。
         
        しかし,以上の要件に全部当てはまったとしても,マイホームを残すための特則の適用を受けられない場合があるんですね。
         
        これについては,長くなりそうなので,次回にまたいで執筆させていただきます。
         

        弁護士への道 〜司法試験制度について〜

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          こんばんは。

           

          前回の記事を投稿した後,一部から『HGPゴシックの方が見やすい』とか『言葉遣いがおかしい』とか『つまんない』との反響をいただきました。ありがとうございます。今回は参考にさせていただきました。

           

          ただ,一度乗りかかった船,今回は司法試験制度について執筆します。

           

           

          最近司法試験の制度は変遷しており,他学部出身者も弁護士になりやすい流れがあったんです。

          8年前までは,いわゆる『旧司法試験』といって,簡単に言うと受験資格に制限のない試験で,群雄割拠の時代だったんです。

           

           

          それが8年前から『新司法試験』といって,司法試験制度に受験資格に制限が付されたんです。その受験資格というのが,法科大学院の修了資格だったんですね。

           

          それで法科大学院乱立時代に突入したわけです。これによって合格者が増えたんですが,法科大学院入試も試験があり,司法試験を受けるまで長い道のりを踏まなければならなくなったんです(旧司法試験と新司法試験が重なっている時期もありましたが)。

           

           

          一方で,社会人の方も休業して法科大学院で学ぶことにより,司法試験に合格しやすくなったというのも実情です。私の法科大学院には,医師の方で弁護士を目指していた奇特な方もいらっしゃいました。

           

           

          それが2,3年前からまた制度が変わり,法科大学院を修了しなくても司法試験を受験できるようになったんです。それが『予備試験』というもので,司法試験の前段階に予備試験を受け,これに合格すれば司法試験を受験できるという制度になったんですね。

           

           

          以上のような経緯で,お金がかかる法科大学院はやめて予備試験ルートで弁護士を目指そう,と考える人が増えたんです。それで昨今法科大学院廃止論とかが活発になってきたんです。←今ここ

           

           

          以上が司法試験の概要です。よく昔の『旧司法試験』をイメージしますが,最近はこういった流れになってきたんです。

           

           

          いずれにしろ,司法試験に合格しなければ弁護士にはなれないというのは変わりないので,『弁護士への道』については今回で十分説明できたのではと思います。

           

           

          次回からは,相談に来られるにあたり有用な情報をご提供できるようなテーマにしたいと考えています。


          弁護士への道 〜ブログ更新を記念して〜

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            弁護士 西川です。はじめまして。

             

            この度,当ブログへのアクセス権限を入手したので記念に投稿します。


             

            かといって,良いテーマも思いつかず,過去のブログを遡っていくと,最初の記事にたどりつきました。当ブログの目的は弊所の日常等を知っていただき,皆様に「親近感を持っていただく」というものだそうです。

             

             

            今でこそテレビで身近な存在と一部で言われるようになりましたが,実際に自分が弁護士に相談するとなると,敷居が高いイメージがあります。

            弁護士というと,勉強家,真面目,堅いという漠然としたイメージが先行しており,一方で素性が知れないということがあるのかもしれません。


             

            そこで,考えたテーマが「弁護士への道」です。弁護士がこれまでにたどってきた道についてご紹介することで,素性を知ってもらい,ひいては「親近感を持っていただく」という当ブログの目的に沿い,さらにひいてはご相談に来ていただければと思います。


             

            というわけで,次回から弁護士の素性を明かします。

            今日のところは,ブログ慣れしていないのでこの辺にしておきます。

            第43回みなと神戸海上花火大会

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              8月3日,今年も,みなと神戸海上花火大会がありました

              当事務所では,去年に引き続き,今年も事務所にて,花火を鑑賞しました。
              クーラーの効いた室内での花火鑑賞,とても贅沢な感じです(笑)

              第43回花火大会

              今年のテーマは・・・「心・こうべ・ココロ〜過去・いま・ミライをつなぐ色」でした。

              オープニングから始まり,6つのシーンを展開するわけですが,
              このシーンにもそれぞれテーマがあったりします。

              このテーマ,毎年,誰が考えているのでしょうか??
              けっこう面白いです


              交通事故(7) 〜過失相殺〜

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                過失相殺とは,被害者に発生した損害のうち,
                被害者側の過失に基づき発生した分について損害賠償額から控除することをいいます。

                これは被害者側の過失が原因で発生した分の損害については,
                被害者に負わせるのが当事者間の衡平に資すると考えられているためです。
                もっとも,どの損害が被害者側の過失から発生したかを区別することは不可能ですので,
                実際は割合によって判断することになります(過失割合)。


                では,以下の具体例をもとに考えていきましょう。

                  XとYの衝突による交通事故。
                  Xの損害額 金400万円
                  Yの損害額 金700万円
                  過失割合  X:Y=2:8


                過失割合を考えるにあたっては,最初に注意点があります。

                過失割合ではXよりもYの方が大きいですが,常にYが加害者となるわけではありません。
                交通事故の損害賠償は,損害が発生した人ごとに個別に判断する必要があります。
                すなわち,Xの損害については,Xが被害者,Yが加害者となり,
                Yの損害については,Yが被害者,Xが加害者となるのです。


                では,具体的にそれぞれいくら請求することができるのでしょうか。

                Xの損害額は金400万円ですが,
                Xの過失が2割ありますのでこれが控除されることになり,
                Yの過失に相当する8割だけを請求することになります。
                   400万円 × 8割 = 320万円

                つぎに,Yの損害額は金700万円ですが,
                Yの過失が8割ありますのでこれが控除されることになり,
                Xの過失に相当する2割だけを請求することになります。
                   700万円 × 2割 = 140万円


                したがって,
                   Xは,Yに対して,金320万円
                   Yは,Xに対して,金140万円
                を請求することができることとなります。



                交通事故の過失割合は,過去の裁判例の蓄積によって
                事故態様ごとにある程度類型化されています。

                もっとも,個別の交通事故において,
                どの類型が適用されることになるのかについて,
                双方の見解が異なることも少なくありません。

                過失割合がどのようになるのかによって,
                最終的に得られる損害賠償額が大きく異なることになりますので,
                相手方保険会社の言いなりにならないようにするためにも,
                まずは当事務所までご相談下さい。
                 


                交通事故(6) 〜素因減額〜

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                  素因減額


                   


                  1.被害者の素因による減額


                   被害者の肉体的・精神的な要因(素因)が損害の発生または拡大に寄与した場合,賠償額の減額事由にされてしまうことがあります。これは,例えば,とても首が長い人が追突事故の被害にあったときに,普通の人なら同じ事故でむち打ちにならなかったはずなのに,その人がたまたま首が長かったためにむち打ちになったのではないか,その場合,その損害を加害者に負担させることが公平なのか,という問題です。


                   素因は,「病的素因(疾患)」,「加齢的素因」,「心因的素因」等に類型化されていますが,裁判では,加齢的素因を除いて減額事由になるとしています。したがって,被害者の疾患や心因的素因が損害の発生・拡大に寄与したと認められる場合には,賠償額が一定割合減額され得るのです。


                   そこで,被害者の肉体的な要因が問題となっている場合には,「疾患」に該当するのかどうか,仮に「疾患」に該当しても損害の発生・拡大に寄与したと認められるのかどうか等慎重な検討が必要になってきます(減額のための法的構成として,過失相殺の規定が類推適用されています)。


                   裁判例では,身体的特徴については,日常生活において通常人に比べて慎重な行動をとることが求められているような特段の事情がない限り斟酌できず,疾患については,疾患が損害の発生ないし拡大に寄与したことが明白である場合には,加害者に損害の全てを賠償させるのが公平を失するとき,これを斟酌することができる,とされた例等があります。


                   なお,心因的素因について,労災(過労死自殺)事件の事案ではありますが,「被害者の人格的要素をもって損害額を減額するためには,当該性格が病的なほどに異常なものでない限り,言い換えれば,その労働者の業務と同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲内のものである限り,その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等を心因的素因として過失相殺することはできない」としています(最判平成12324日)。


                   


                  2.素因減額の取扱い


                  素因減額は,任意保険では適用されますが,自賠責保険には適用されません。自賠責保険の減額事由は,自賠責保険の支払基準上,「重大な過失による減額」と「受傷と死亡又は後遺障害との因果関係の有無の判断が困難な場合の減額」の2点に限定されているためです。もっとも,自賠責保険の後遺障害における加重の取扱いは,素因減額の考え方に類似しているものと思われます。


                   


                  交通事故(5) 〜無償同乗〜

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                    無償同乗(好意同乗)とは,無償または好意で他人を自動車に同乗させることをいいますが,
                    この無償または好意で,乗せてもらった者の損害賠償は制限されるのではないか?

                    という問題があります。

                    例えば,AとBは帰る方向が同じだったので,BがAの自動車に乗せてもらったところ,
                    その途中Aが,Cの運転する車に衝突し,BもCも負傷したとします。

                    この際,CがAに損害賠償を請求できるのは当然です。

                    では,BはAに損害賠償を請求できるのでしょうか?

                    Bは,無償または好意でAに自動車に乗せてもらっており,
                    無関係のCに比べたら損害賠償請求を制限されるのではないかということです。

                    この点,原則として,無償同乗自体を理由として減額はされません。

                    単に,無償または好意で自動車に乗せてもらっているからといって,
                    損害賠償額が減額される理由がないのは当然でしょう。

                    ただ,同乗者に帰責事由がある場合に,損害賠償額が減額されることはあります。

                    この同乗者の帰責事由には,

                    交通事故発生の危険が極めて高いような客観的事情が存在することを知りながら
                    あえて同乗(危険承知),

                    危険な運転を誘発したり容認する等して危険が増大するような状況を
                    つくりだした(危険関与・増幅等)

                    等が考えられます。

                    ですから,先の事例では,Bが,単に無償または好意で
                    Aの自動車に乗せてもらっているからといって,Bの損害賠償額が減額されることはありません。

                    但し,Bに,Aが飲酒していることを知っていながら同乗した,

                    Aが高速で運転していたが速度を落とすようにいわずドライブを楽しんだ

                    等といった帰責事由があれば,Bの損害賠償額が減額されることはあります。


                    交通事故(4) 〜損益相殺等〜

                    0
                      被害者又はその相続人が,事故に起因して何らかの利益を得た場合,その利益が損害の補填であることが明らかであるときには,損害賠償額から控除することがあります。

                       

                      以下に例を挙げます。

                       

                      1 控除した例

                      ー領済みの自賠責の損害賠償額

                      ⊆領済みの各種社会保険給付

                       ・厚生年金保険法による遺族厚生年金,障害厚生年金

                       ・労働災害補償保険法による休業補償給付金・療養補償給付金,障害一時金,遺族補償年金,葬祭給付・遺族年金前払一時金,障害補償年金前払一時金,障害補償年金・介護補償給付金

                       ・健康保険法による傷病手当金

                       ・国民健康保険法による高額療養費還付金

                       ・国民年金法による遺族基礎年金

                       ・地方公務員等共済組合法による遺族共済年金

                       ・地方公務員災害補償法による療養費,葬儀費,遺族補償年金

                      その他

                       ・所得補償保険契約に基づいて支払われた保険金等

                      い覆,控除を認める場合でも,控除すべき金額について,事故日から支払日までの感に発生している遅延損害金に充当した残額についてのみ控除すべき場合がある。

                       

                      2控除しなかった例

                      ー損事故保険金

                      搭乗者傷害保険金

                      生命保険金

                      そ害保険金

                      ゼ匆餤稽蘊總蠹額の香典,見舞金

                       

                      3社会保険給付等がある場合の控除制限

                      々欺が認められる場合でも,同一の損害項目からのみ控除が認められる。

                       ・労災保険法等による休業補償給付等は,給付された補償金が財産上の損害額を上回る場合でも,差額を慰謝料から控除することはできない

                       ・労災保険法による療養給付は,治療費に止まらず入院付添費,介護料にも補填される

                       ・健康保険傷病手当金及び障害基礎厚生年金は,逸失利益及び休業損害に充当される

                      ∋蟲泙確定していない場合には,控除は認められない。

                      その他,種々の例がある。

                       

                      4社会保険給付等がある場合の過失相殺の方法

                      々駝映金,健康保険,厚生年金は,損害額から保険給付額を引いた残額に対して過失相殺をする。

                      ∀災保険給付は,被害者の実損額を填補するもので,加害者に対する損害賠償請求権を填補するものではないとして,健康保険と同一の取り扱いをする例と,他の損害填補と同様に扱うことが損害賠償法理にかなうとして,過失相殺後の損害賠償額から控除する例がある。

                      政府保障事業によるてん補金の例もある。

                       

                      5共同不法行為の場合の填補関係

                      自賠責保険の保険金は,被保険者の損害賠償債務の負担による損害を填補するものであるから,共同不法行為者間の求償関係においては,被保険者の負担部分に充当される。

                       

                      6人身傷害(補償)保険

                      人身傷害補償保険に基づく保険金請求権と加害者に対する損害賠償請求権との関係については見解が分かれているが,保険金が損害賠償請求において算定される総損害額のうち被害者過失相当額にまず充当され,それを超える金額があるときに被害者の損害賠償請求権に充当されるという考え方に基づく裁判例が最近多くなっている。

                       

                      これらはあくまでも一例であり,控除の可否についてはたくさんの事例があって複雑な部分です。一度専門家にご相談いただければと思います。



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