個人再生でマイホームを死守する方法?

0
    こんばんは。
    弁護士 西川です。
     
    早速余談ですが,前回の記事,どこかの弁護士記事ランキングでなんと一時期27位まで上昇していました。
    執筆者としては,結構嬉しいものです。

    さて,前回に引き続き,民事再生手続きにおける,「住宅資金貸付債権」について執筆します。

     
    おさらいすると,前回執筆した要件を充たした場合には,原則として,再生計画内に「住宅資金貸付債権」の全部又は一部を変更する条項(住宅資金特別条項と呼ばれる)を定めることができ,これによって,住宅ローンの債権者による抵当権の実行を回避できる,というメリットがあるということです。結果として,再生債務者は,マイホームを残しながら再生手続きを進められるようになります。
     
    今回は,前回執筆した要件を充たしたとしても,以上のようなメリットを享受できない場合があるという点について触れます。具体的には,以下の事情に注意する必要があります。
     
      崕斬雹餠眤濾婪銚◆廚鰺する再生債権者が,「住宅資金貸付債権」を代位弁済によって取得した場合(民法500条,民事再生法198条1項本文括弧書)
     
     民法上,住宅ローンの個人保証をしている人が,住宅ローンの債務者に代わって住宅ローンを支払った場合(代位弁済),その限度で住宅ローン債権者が債務者に有していた抵当権を取得し,実行できるようになります。
     
    このような場合に,住宅資金特別条項を定めると,個人で保証した者が弁済してせっかく抵当権を実行できるということになっていたのに,それを認めないことになってしまいます。
     
    このようなことは,保証した人にとってはかなり経済的負担が大きいので,この場合は,住宅資金特別条項を設けることはできないことになっています。
     
     
    ◆ 崕斬陝廚法ぁ崕斬雹餠眤濾婪銚◆廚鮹簡櫃垢訥馘権以外に,一般債権を担保する別除権が設定されている場合(198条1項但書1文)
     
     別除権とは担保権のことをいいます。ここでは,住宅資金貸付債権以外についての債権に設定されている抵当権などを念頭に置いていただくと良いと思います。
     
     この場合,住宅資金特別条項は,別除権を拘束しませんので,別除権が実行されてしまうと,再生債務者は「住宅」を確保できなくなって,住宅資金特別条項を定めても無意味になってしまいます。したがって,この場合は住宅資金特別条項を設けられません。
     
    「住宅」とそれ以外の不動産が「住宅資金貸付債権」を担保する抵当権の共同担保になっている場合で,その不動産に「住宅資金貸付債権」を担保する抵当権の後順位抵当権が設定されている場合(198条1項但書2文)
     
     これはどういうことかというと,住宅ローンに際して,マイホームだけでは担保として足りず,他に所有していたAという物件にも担保を設定した場合を例として考えてみるといいと思います。
     
     
     この場合に,A物件に第2抵当権などが付いていた場合,民法上,実質的には,第2抵当権者が,自由に「住宅」に設定された抵当権を実行できる事態になりうるため,住宅資金特別条項を設けられないこととされています。
     
     
    な歉擴饉劼,「住宅資金貸付債権」の保証債務を履行した場合で,その履行がなされた日から6ヶ月間が経過した後に再生手続の開始が申し立てられた場合(198条2項本文反対解釈)
     
     これは,金融機関の利益に配慮したものです。基本的に,住宅ローンは,金融機関が住宅購入者に資金を貸し付け,それを保証会社が保証するという形をとっています。
     そして,保証会社が保証債務を履行して金融機関に,債務者の代わりに支払いを済ませた場合,金融機関としては,住宅資金貸付債権を償却した扱いにします。
     
    ところが,この場合に,債務者が再生手続きの中で住宅資金特別条項を設けると,金融機関としては,保証会社に支払ってもらった金額を返還し,「住宅資金貸付債権」はもとの金融機関に復帰することになります。
     
    このような事態がいつまでも続くことは,金融機関などの債権者にとって過剰な負担となるため,その期間を制限したというのがこの場合です。
     
    以上の四つの場合が,住宅資金特別条項を設けられない場合です。少し難しいですね。次回からは,交通事故関連の記事を執筆したいと思います。
     

    個人再生でマイホームを死守する方法

    0
      弁護士 西川です。
       
      今回からは民事再生について執筆しようと思います。
       
       
      つい先日,航空会社のスカイマークが民事再生手続きの開始決定をうけましたね。私の知人は,予約していたスカイマークの便が取りやめになったそうです。ついてないですね。
       
       
      民事再生とは,簡単に言うと,借りたお金を約束通り払えなくなったので,将来の継続的な収入を見込んで借金を減額してくださいと申し立てる手続きです。イメージとしては,任意整理と破産の中間の手続きみたいなものです。
       
      民事再生法は,スカイマークのような会社だけでなく,一般消費者にも適用されます。よく耳にするのが個人再生ですね。個人再生を申し立てると,昔は,住宅を手放すことを覚悟する必要がありました。
       
      しかし,平成12年に改正された民事再生法により,一定の要件を充たす場合,住宅ローン返済中であっても,マイホームを手放さずに再生手続きを進めることができるようになったのです。それを定めたのが,「住宅資金貸付債権に関する特則」です。
       
      この特則の適用を受けるためには,次の要件を充たす必要があります。
       
      まず,
      (1)「住宅」(民事再生法196条1号)に該当すること
      です。
       
      ア 「住宅」とは,まず,債務者が,「所有」する建物であることをいいます。これは,共有でもいいです。
      イ 次に,債務者自身が住居として使用する建物であって,専ら自己の居住の用に供される部分が総床面積の2分の1以上に相当することが必要です。
        要は,マイホームの半分以上の面積を住居として使用していればよいということです。この点は,個人事業者で,住居と事務所を併用している方は要確認事項です。
        なお,アとイの要件を充足する建物が複数ある場合は,債務者が主に住居として使用している建物についてのみ認められると定められています。
       
       
        もう一つの要件が,
      (2)「住宅資金貸付債権」(民事再生法196条3号)に該当すること
        です。
       
       ア 「住宅資金貸付債権」に該当するには,「住宅」の建設若しくは購入に必要な資金,又は,「住宅」の改良に必要な資金の貸付によって生じた再生債権であることを要します。
       
       イ また,分割払いの定めがある再生債権であることが必要です。一般的な住宅ローンは大体この要件は充たしていますね。
       
       ウ 「住宅」につき抵当権が設定されている債権であること,も必要です。これも一般的な住宅ローンであれば,普通,無担保ではないので充足していると思います。
       なお,住宅の敷地のみに抵当権が設定され,「住宅」に抵当権が設定されていない場合には,特則の適用はないので,注意が必要です。
       
      以上の事情は,住宅ローンに関する契約書や登記簿謄本の取寄せ等で把握できます。
       
      ですので,もし,個人再生をお考えの方で,マイホームだけは残したい,という方は,事前に以上の要件を確認してみてもいいと思います。
       
      以上がマイホームを残すための一応の要件です。
       
      しかし,以上の要件に全部当てはまったとしても,マイホームを残すための特則の適用を受けられない場合があるんですね。
       
      これについては,長くなりそうなので,次回にまたいで執筆させていただきます。
       

      1

      calendar

      S M T W T F S
         1234
      567891011
      12131415161718
      19202122232425
      2627282930  
      << November 2017 >>

      selected entries

      categories

      archives

      links

      profile

      search this site.

      others

      mobile

      qrcode

      powered

      無料ブログ作成サービス JUGEM